投資信託、ここが知りたい! ~その3 普通分配金と特別分配金の違い ~

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本日の日本経済新聞に「ノムラ日本株戦略ファンド17年ぶり基準価額10,000円超」との記事が掲載されていました。

みなさんは「ノムラ日本株戦略ファンド」をご存知でしょうか?

「ノムラ日本株戦略ファンド」は、投資信託という金融商品に一石を投じた歴史に残るファンドなのです。

いま振り返ると、このファンドは投資信託の信用を失墜させたファンドではないでしょうか?

証券会社サイドからの言い分はあると思いますが、明らかに設定時期、設定金額、投資信託に係るコスト等において問題があったように思えます。

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「基準価額は回復すれど、お客さんの信用は回復できず」

投資は「自己責任」が大原則ですが、当時は「自己責任」が徹底されておらず、証券営業も強引な勧誘がまかり通っていた時代です。

まして設定額1兆円ともなると、営業マンの苦労は想像に難くありません。

「ノムラ日本株戦略ファンド」の概要は以下の通りです。

設定時期はITバブルの絶頂期である2000年2月です。

募集金額 1兆円、買付け手数料3.15%、信託報酬 1.9%です。

野村證券の100周年記念ということで、これだけのキャンペーンを展開したのでしょうが、1兆円の資産を運用するとなると投資対象銘柄も限られてきます。

「社運を賭けた投資信託」とのセールス・トークで1兆円を集めたのですが、運用成果は全くで、まさに野村證券の凋落のトリガーとなった投資信託だったのです。

ファンドマネージャーの裁量余地も少なく、いい株に投資するという以前に、投資対象企業の規模が問題になります。(大型株主体の運用にならざるを得ない)

その投資信託の基準価額が17年ぶりに10,000円を回復したのです。

「基準価額は回復すれど、お客さんの信用は回復できず」ですよね。

 

普通分配金と特別分配金の違いって何?

前回のブログで、分配金には「普通分配金」「特別分配金」があることを書きました。

簡単に言えば「普通分配金」とは課税される分配金、「特別分配金」とは課税されない分配金でしたよね。

本日は、二つの分配金について詳しく解説いたします。

普通分配金とは、分配金の全額が課税対象となるモノで(所得税、住民税)、基準価額が個別元本と同額か上回る場合をいいます。

特別分配金とは、言葉は分配金ですが元金の払い戻しとなるモノです。

元本の払い戻しであることから非課税扱いとなります。

ここで注意です!

えっ!

非課税の分配金って得した気分だよね~

なんて考えないでくださいね。

特別分配金は基準価額が個別元本を下回る部分に相当する金額のことをいうのです。

文章で書いてもピンとこないので、図を使って解説いたします。

 

図1は運用が好調な投資信託です。

この投資信託を設定時(基準価額10,000円、個別元本10,000円)で買った投資家の場合

(1) 基準価額が12,000円になり決算をむかえました。
(2) 利益は2,000円です。
(3) 2,000円の利益から普通分配金1,500円が支払われます。
(4) 利益2,000円-普通分配金1,500=残った利益500円となります。
(5) 残った利益500円も投資家に帰属するので、普通分配金が支払われた後の基準価額として反映れるため10,500円となります。

 

図2は運用が上手くいかず損失が発生した場合です。

この投資信託を設定時(基準価額10,000円、個別元本10,000円)で買った投資家の場合

(1)基準価額が9,000円になり決算をむかえました。
(2)損失は1,000円です。
(3)損失であるにもかかわらず、特別分配金1,000円が支払われます
(4)損失1,000円-特別分配金1,000円=基準価額より引かれる金額2,000円
(5)特別分配金は基準価額から取り崩されるので、特別分配金が支払われた後の基準価額は8,000円となります。
(6)個別元本は10,000円(取得価額)-1,000円(特別分配金)=9,000円(特別分配金受取後の個別元本)です。

特別分配金は元本部分の払戻しになるので、取得価額の10,000円から特別分配金である1,000円を引いた額に修正しないと税制上有利になりますよね。

特別分配金を差引かず受取後も取得価額が10,000円のままだと、今後9,500円まで基準価額が回復して時に500円分が非課税扱いとなるので有利になります。

 

毎月分配型投資信託の「たこ足配当」にご注意を!

上図2つを比べて、何かおかしいとおもいませんか?

図1では利益が出ているので分配するのは納得いきますが、図2では損失しているにもかかわらず分配していますよね。

A、 なぜ、損失しているの分配する必要があるのか?
B、 何を原資に分配しているのか?

と疑問に思いますよね。

A、 毎月分配型投資信託の場合は、損失していても無理やり分配金をだすからです。
B、 以前に積み立てた利益から分配、もしくは投資家の純資産から分配しています。

(上の例では、設定当初から保有しているという前提になっているので、留保利益はないものとして解説しています。ご了承ください。)

これを「たこ足配当」といいます。

エサがなくなったときにタコが自分の足を食べることに例えているのです。

当然、利益から分配されているわけではないので、課税対象にならないですよね。

銀行の普通預金に預けているお金から、毎月自動的に一定額を引き出して他の口座に振り替えてくれているような感じです。

特別分配金なるモノを知ると、「年金代わりに毎月お小遣いを!」の宣伝文句につられて毎月分配型投資信託を買うことの無意味さがおわかりいただけると思います。

毎月分配型投資信託は投資信託の銀行窓販が解禁されたことにより、銀行マンが売りやすい投資信託として爆発的な人気になっただけです。

本来の投資信託のコンセプトから大きく逸脱した商品なのです。

ベールが剥がれ、金融庁も毎月分配型投資信託の過剰販売を問題視しだしましたよね。

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毎月分配型投資信託を保有中の方は、一度ご確認ください

当ブログの読者で、以前に毎月分配型投資信託を買って、毎月の分配金に満足されている方はいませんか?

いままでもらった分配金と現在の基準価額に保有口数を乗じて投資した金額以上になっているのか確認してくださいね。

10年ほど前に買った毎月分配型投資信託なら分配金込みで、そこそこ儲かっていると思いますが、買付けてから5年未満の方は一度計算してくださいね。

分配金込みでも元金割れになっている可能性があります。

ここまでの解説で特別分配金が、どのようなモノであるのかおわかりいただけたと思います。

課税されない分配金と説明されることが多いですが、当然ですよね。

銀行の普通預金から引き出すたびに、引き出した金額に課税されていたら誰も普通預金に預けないですよね(^^♪

しかし、毎月分配型投資信託を買っている方は、これと同じような愚行をしているのです。

「年金代わりに!」なんて言葉に騙されないように注意してくださいね。

本日は普通分配金と特別分配金について解説いたしました。

簡単に言えば

普通分配金=利益から分配=課税対象になる
特別分配金=利益ではなく自分の資産から分配される=課税対象にならない

ということです。

新規設定の投資信託を例に解説しましたが、毎月分配追加型投資信託を複数回に分けて買付けた場合は、それぞれの投資家で個別元本が異なります。

次回はこのような場合の普通分配金と特別分配金の関係について解説したいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

次回の「Smart Money ~投資信託編~」は10月3日です。

これからもよろしくお願いします。

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